第一種電気工事士 過去問
令和6年度(2024年)下期
問31 (一般問題 問31)

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問題

第一種電気工事士試験 令和6年度(2024年)下期 問31(一般問題 問31) (訂正依頼・報告はこちら)

図は、自家用電気工作物構内の高圧受電設備を表した図である。
この図に関する各問いに対して、答えを1つ選びなさい。
〔注〕図において、問いに直接関係のない部分等は、省略又は簡略化してある。

②に示す引込柱及び高圧引込ケーブルの施工に関する記述として、不適切なものは。
問題文の画像
  • A種接地工事に使用する接地線を人が触れるおそれがある引込柱の側面に立ち上げるため、地表からの高さ2m、地表下0.75mの範囲を厚さ2mm以上の合成樹脂管(CD管を除く)で覆った。
  • 造営物に取り付けた外灯の配線と高圧引込ケーブルを0.1m離して施設した。
  • 高圧引込ケーブルを造営材の側面に沿って垂直に支持点間6mで施設した。
  • 屋上の高圧引込ケーブルを造営材に堅ろうに取り付けた堅ろうなトラフに収め、トラフには取扱者以外の者が容易に開けることができない構造の鉄製のふたを設けた。

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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、図中②に示す引込柱および高圧引込ケーブルの施工に関して不適切なものを選ぶというものです。

その為には、引込柱および高圧引込ケーブルの施工に対する正しい知識が求められます。

選択肢1. A種接地工事に使用する接地線を人が触れるおそれがある引込柱の側面に立ち上げるため、地表からの高さ2m、地表下0.75mの範囲を厚さ2mm以上の合成樹脂管(CD管を除く)で覆った。

この選択肢は、正解です。

これは電気設備技術基準に準じた措置です。接地線を保護するための措置として、厚さ2mm以上の合成樹脂管(ただしCD管は除く)で覆うのは正しい施工となります。

選択肢2. 造営物に取り付けた外灯の配線と高圧引込ケーブルを0.1m離して施設した。

この選択肢は、不正解です。

高圧電路と他の電路(この場合は外灯の配線)との離隔距離は、0.3m以上必要です(※電気設備技術基準)。
この選択肢で述べている0.1mでは不足しており、感電や漏電のリスクがあるためです。

従ってこの選択肢は、不適切です。

選択肢3. 高圧引込ケーブルを造営材の側面に沿って垂直に支持点間6mで施設した。

この選択肢は正解です。

高圧ケーブルを建物側面に沿わせて設置する場合、支持点の間隔は6m以下とするのが一般的な基準です。
従って、これは基準に沿っており適切となります。

選択肢4. 屋上の高圧引込ケーブルを造営材に堅ろうに取り付けた堅ろうなトラフに収め、トラフには取扱者以外の者が容易に開けることができない構造の鉄製のふたを設けた。

この選択肢は正解です。

屋上にケーブルを敷設する場合、安全性・保守性を確保するために堅ろうな構造のトラフを使用し、かつ施錠可能など、一般の人が開けられないようにするのは正しい対応となります。


 

まとめ

この問題を解くにあたり必要な注意事項を以下のようにまとめました。

判断基準として電気設備技術基準を正しく理解していることが求められます。また、その解釈を正しく適用することが求められます。

接地線の保護:
 人が触れる可能性がある場合、厚さ2mm以上の合成樹脂管(CD管を除く)で保護します。
   保護範囲:地表上2m+地中0.75mとなります。

 

他の電路との離隔距離:
  高圧ケーブルと低圧や外灯等の配線との距離は0.3m以上必要となります。

 

ケーブルの支持間隔:
 高圧ケーブルは、建物側に沿って施工する場合は6m以内で支持点を設けることが必要となります。

 

トラフの構造とふた:
 屋上などに敷設する場合、堅ろうな構造のトラフに収め、
   取扱者以外が容易に開けられない鉄製のふたを設ける必要が生じます。

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02

引込柱及び高圧引込ケーブルの施工に関しては、電気設備の技術基準の解釈(20241004保局第1号、以下、電技解釈という)の第111条と第114条に、それぞれ、高圧の屋側電線路と屋上電線路の規定があります。また、同第17条に、電路接地に関する規定があります。

選択肢1. A種接地工事に使用する接地線を人が触れるおそれがある引込柱の側面に立ち上げるため、地表からの高さ2m、地表下0.75mの範囲を厚さ2mm以上の合成樹脂管(CD管を除く)で覆った。

この処置は適切です。電技解釈第17条第1項第三号は、A種接地工事について、接地極及び接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合は、

 

接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと

 

と定めています(例外規定はあります)。

選択肢2. 造営物に取り付けた外灯の配線と高圧引込ケーブルを0.1m離して施設した。

この処置は不適切です。電技解釈第111条第3項は、

 

高圧屋側電線路の電線と、その高圧屋側電線路を施設する造営物に施設される、他の低圧又は特別高圧の電線であって屋側に施設されるもの、管灯回路の配線、弱電流電線等又は水管、ガス管若しくはこれらに類するものとが接近又は交差する場合における、高圧屋側電線路の電線とこれらのものとの離隔距離は、0.15m 以上であること

 

としています。文章が複雑ですが、外灯の配線と高圧引込ケーブルは0.1mではなく、0.15m離すべきです。

選択肢3. 高圧引込ケーブルを造営材の側面に沿って垂直に支持点間6mで施設した。

この処置は適切です。電技解釈第111条第2項は、

 

ケーブルを造営材の側面又は下面に沿って取り付ける場合は、ケーブルの支持点間の距離を2m(垂直に取り付ける場合は、6m)以下とし、かつ、その被覆を損傷しないように取り付けること

 

としています。

選択肢4. 屋上の高圧引込ケーブルを造営材に堅ろうに取り付けた堅ろうなトラフに収め、トラフには取扱者以外の者が容易に開けることができない構造の鉄製のふたを設けた。

この処置は適切です。電技解釈第114条第2項は、高圧屋上電線路の施設方法の1つとして、

 

電線を造営材に堅ろうに取り付けた堅ろうな管又はトラフに収め、かつ、トラフには取扱者以外の者が容易に開けることができないような構造を有する鉄製又は鉄筋コンクリート製その他の堅ろうなふたを設けるほか、第111条第2項第七号の規定に準じて施設すること

 

としています。ここで、第111条第2項第七号の規定は接地工事に関するものです。

まとめ

本問の内容をまとめておきます。


1. A種接地工事の接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合は、接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、一定の条件を満たす合成樹脂管で覆う。
2. 高圧屋側電線路の電線と他の低圧又は特別高圧の電線であって屋側に施設されるものは0.15m以上離す。
3. ケーブルを造営材の側面又は下面に沿って垂直に取り付ける場合は、ケーブルの支持点間の距離を6m以下とする(水平の場合は2m以下)。
4. 高圧屋上電線路の施設方法の1つは、電線を堅ろうに取り付けた堅ろうな管又はトラフに収め、かつ、鉄製又は鉄筋コンクリート製その他の堅ろうなふたを設けることである。

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03

この問題では、ケーブル引き込みに関する施工方法について不適切な記述を選ぶことが求められています。ケーブルを引き込む際、適切な施工方法を選定することが大切であり、規定に従った作業が求められます。

選択肢1. A種接地工事に使用する接地線を人が触れるおそれがある引込柱の側面に立ち上げるため、地表からの高さ2m、地表下0.75mの範囲を厚さ2mm以上の合成樹脂管(CD管を除く)で覆った。

この記述は適切です。ケーブルが摩擦しないように適切なサイズのトラフを選ぶことは、ケーブルの耐久性を保つために重要です。ケーブルが摩擦により劣化しないよう、十分な空間を確保することが推奨されます。
この選択肢は不正解です。

選択肢2. 造営物に取り付けた外灯の配線と高圧引込ケーブルを0.1m離して施設した。

この記述は不適切です。ケーブルの間隔は50mmでは不十分であり、適切な間隔を確保することが重要です。ケーブル同士が重なることで摩擦や過熱が起き、トラブルの原因になる可能性があります。一般的には、間隔を広く取ることが推奨されます。
この選択肢は正解です。

選択肢3. 高圧引込ケーブルを造営材の側面に沿って垂直に支持点間6mで施設した。

この記述は適切です。ケーブルが重ならないように配置し、過剰な負荷を避けることは、ケーブルの長期的な信頼性を確保するために重要です。
この選択肢は不正解です。

選択肢4. 屋上の高圧引込ケーブルを造営材に堅ろうに取り付けた堅ろうなトラフに収め、トラフには取扱者以外の者が容易に開けることができない構造の鉄製のふたを設けた。

この記述は適切です。ケーブルを折り曲げないようにし、曲げ半径を守ることが必要です。無理に折り曲げることはケーブルにダメージを与える可能性があり、避けるべきです。
この選択肢は不正解です。

まとめ

この問題では、ケーブル引き込みに関する不適切な施工方法を選ぶことが求められました。ケーブルの施工においては、ケーブル同士の間隔を適切に確保し、摩擦や過熱を防ぐことが非常に重要です。また、ケーブルを無理に折り曲げたり、過剰な負荷をかけたりしないように設置することが求められます。適切な施工方法を選定することで、安全で信頼性の高い電気設備を構築することができます。

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